「さて次は。まな、とりあえず学生組に電話して来て。」

「分かった。茉依、学校は早退する、でいいんだよね?」

「うん、そう。」


まなは教室の隅で電話をかけ始めた。


「私、理事長に事情を説明して、早退の許可をもらって来る。」


凜は、そう言い残して、素早く教室を出て行く。


さすが凜。


次に私が言おうとしてたことが分かってたね。


…ふう。

これで後は。


「えーと、あのさ、俺のこと忘れてないよね?」


振り返った先で所在なさげに立っていたのは、あの人もとい園田 亮平。

恭平君の弟だ。


「もちろん、忘れていませんよ、園田 亮平先輩?」


私の言葉に、彼は驚いたような顔をした。


「…よく俺のフルネーム知ってたね。もしかして昔、梨那に聞いた?」