優斗side♬


腕の中で泣きじゃくる梨那は、とても儚く、今にも消えてしまいそう。


綺麗…だけど、時間が経てば散ってしまう、そんな桜の花びらと彼女の姿が重なる。


俺にとっての梨那は、いつも真っ直ぐで、姿を見るだけで安らぎを与えてくれる特別な存在だ。


だから、彼女がこんな風にして泣いているのを見るのは、とても心苦しい。


もちろん分かっている。

彼女が、俺には想像出来ないほどの大きな闇を抱えているということは。


それでも、出来ることなら笑っていてほしいと思うのは間違いなのか。


会ったばかりの時は縄倉たちの言う通り、警戒していてあまり心を開いてくれなかった梨那。


だけど、時が過ぎるごとに、あいつらに向けていた笑顔を俺にも向けてくれるようになったんだ。