初めては私が良かったのに……


…あれ。

私ったらなんてこと考えてるんだろう……


これじゃまるで、優斗くんのカッコいい姿を独り占めしたいと思っているみたいだ。


…もしかして私、優斗くんのことが…いやいやそんなはずない。


というか、そんなことあっていいはずがないんだ。


私は今頭の中に浮かんだ答えを払拭するように頭を横に振った。


「…梨那、大丈夫?さっきから浮かない顔してるけど。」

「…茉依。大丈夫だよ。ただ、ギャラリーの声がうるさいのをなんとかしてほしい。」


私がそう言うと、茉依は怪訝そうな顔でこう言った。


「…梨那、気付いてない?そう言うと思って凜が黙らせておいたよ。私達もうるさくてイライラしてたし。」


茉依の言葉に辺りを見回すと、騒がしかったギャラリーはさっきとは一転。

シーンと静まり返っていた。