スマホにフィルターをかけるとか盗聴器を仕込んでおく、とか全く策がないわけじゃない。


だけど、そんなことをしても梨那にすぐバレてしまうのは目に見えている。

あの子、そういうのには敏感だから。


それに、梨那は俺たちを巻き込みたくないと思っている。


“アレ”が起きたのも全部自分のせいだと、未だに自分を責めているんだ。


いくら俺たちが違うと言っても、自分を責め続けた。


…多分、そうでもしないと、自分を保てなかったんだろう。


“アレ”が起きてまだ日の浅かったころの梨那は、無口、無表情、無感情と無の三拍子。




時に壊れることもあった………




「ねぇ、じゃあ私らがしばらくこの家に住むのはどう?」


不意に口を開いたのは、真琴ちゃんだった。


「え、どういうこと?」


真琴ちゃんの隣の唯ちゃんは、少し困惑気味。