…時間止まった気がした。


突然のことに、誰も言葉を発しない。


ずっと梨那と一緒にいて、人を見る目も確かな茉依ちゃん達が認めたやつだ。


きっとそいつで間違いない、そう思うのに、どこかでその事実を信じられない自分がいた。


でも、そう思うのも仕方のないことではあ
る。


だって、あの梨那を闇から引っ張り出すなんてことは、並大抵のことではない。


俺や親父や母さんをはじめ、ここにいる誰もが、梨那を完全に闇から引っ張り出すことは出来なかった。




“運命の王子様”




それは、梨那の全てを受け止め、闇から引っ張り出してくれる。


そして、一生をかけて梨那を愛し、守ってくれる。




そんな光り輝く存在。


いるかも分からない不確かな存在だけど、絶対にいつか現れると信じて、俺たちはこの5年近くずっと探してきた。