「ほのかちゃんが颯くんと幼馴染なんて、初めて知ったよ」



「言ってないからね」



ダンボールを両手で抱えながら、私と並んで廊下を歩く親友の優奈(ゆな)は、不満そうに口を尖らせた。



「なんで内緒にしてたの?」



「そうじゃないよ。もう他人みたいなものだから」



私が苦い顔で答えると、優奈は、



「そんなこと言ったって!これ!」



壁一面に貼られたミスターコンテストの顔写真を指差して、勢い込む。



「私が颯くんの大ファンだって知っててその仕打ち!?」



予選一位通過、という文字の上には、最高にカッコつけた颯の顔が貼られていた。