「大丈夫だよ。
…俺、いるでしょ」
「…そう、だよね」
にこりとする青山くんの、柔らかな茶色のくせ毛が、ゆるく揺れた。
「…ほのか?」
突然、背後から声をかけられて、びくりとする。
「なんでここにいるの」
昔とは違う声。
甘いだけじゃなく、どこか低く響く声。
…大丈夫。平常心、平常心。
こいつが来ることは当たり前じゃん。
わかっていたことだし。
なんとか笑顔を作って振り返るまで、そう自分に言い聞かせる時間がたっぷり必要だった。
ミスターコン担当を言い渡されてから、ずっと、私の心に暗い影を落としていたこの男の存在を、受け入れるためには。
「ファイナリストの方ですね。
空いている席にお座りください」
「……」
完璧な対応をした私に、颯は明らかに気分を害した態度。

