青山くんはどこか虚空を見つめながら、心ここに在らずで続けた。
「茅野って」
「うん」
「付き合ってるの?」
「え?」
どこか言いだしづらそうな青山くんは、少しの沈黙ののち顔を上げて、私を見た。
「園川と、付き合ってる?」
私は慌てて首を振った。
「付き合ってないよ」
…私と颯はその頃まだ仲が良くて、たまに一緒に帰るし、うちでご飯は食べるし、クラスが違ってもすれ違うたびにバカみたいにじゃれあっていて、よくこう言う誤解をされることはあった。
その度に私は焦って誤解を解かなくてはならなかった。
「ただの、幼馴染だよ。家族みたいなものだし」
いつものようにそう言うと、青山くんはじゃあさ、と切り出した。
「一緒に行かない、夏祭り。
…その、二人きりで…」

