「私は食べられそうにないです……」

ハジュンに写真を見せてもらい、真っ赤なスープを見て雛は苦笑する。

「イカやエビなどが入っていて、辛いだけじゃないんですよ！」

ハジュンもそう言い、笑った。

お腹を満たした後は、また韓国の街を案内してもらう。道を歩く時には、ハジュンと雛は恋人のように当たり前に手をつなぐ。

雛は、このデートが終わってほしくないと思った。この夢のような時間が終わってしまったら、もうこんな風に手をつなげない。また画面越しに応援するだけになってしまう。

「次は……キョンボックンに行きましょう！ドラマに出てきそうな景色ですよ」

楽しそうにハジュンは言う。雛は「はい」と寂しさを誤魔化しながら笑った。この気持ちはアイドルのハジュンにとって迷惑なものだ。雛は言ってはいけないと唇を噛み締める。

キョンボックンは、1395年に建てられたとされる王様の正宮だ。ソウル市内にある五大王宮中でも一番規模が大きい。