「少し、お願いしたいことがあります。お願いしても、いいですか？」

そう言いながら、男性はゆっくりとサングラスを外す。目の前にいる男性を見て雛は夢かと思った。

韓国の人気アルドルグループREDのイ・ハジュンがそこにいた。

「えっ！？」

驚く雛にハジュンは口に指を当てて「シ〜……」と微笑む。

雛はREDの大ファンだ。CDも持っているし、グッズもいつくか持っている。卒業旅行に韓国を選んだのも、REDのメンバーの出身国がどんなものかこの目で見たかったからだ。

「ハ、ハジュンさん！何で日本語を……！というか、どうしてここに！？」

混乱する雛を見て、ハジュンはニコニコとしている。そして、夢のような台詞を言った。

「僕と、一日デートしてください。お願いします」

ハジュンに見つめられ、雛の胸は高鳴る。画面越しに応援し続けていた人が、今目の前にいるのだ。ドキドキしないはずがない。

「実は雑誌の撮影で、外国人とのデート風景を撮影することになったんです。彼女役をお願いしたいのです」