「あとね、いつもの…お願いします。」
そう言われると俺はカナのスクールバッグの中身を確認する。
「昨日の夜頑張ったんだよ?…どうかなぁ。」
「化学の教科書が入ってないよ。…あ、あとこのプリントはお母さんに渡さないと行けないでしょ。
それに、このノートあと1ページしかないけど?」
「うぅ…。やっぱ、シュウくんがいなきゃカナは生きていけません。
シュウくん、ありがとう!エヘヘ」
いつもの。とは、俺がカナの荷物チェックをするという事。
小学校時代、カナはかなりの忘れ物常習犯で、これは小学校のときにカナの担任からお願いされたこと。
…と、カナは思っているようだが、半分嘘。
カナが忘れ物をするのは本当だが、別に担任に頼まれた訳ではなく、カナが隣の男子に教科書を見せてもらうと想像したら、俺が耐えられないからだ。
…学年も違えば、扱う教科書も違う。貸すことはできないし、どうしようもないから、こうすることしか出来ないのだ。