「着いたー!やっぱ頂上綺麗だなー!」


「すごーい!学校とか見えるかなー?」


「ここの標高を考えると、可能だと思いますよ。」


そう言いながら盛り上がる3人。




「5人で登りきれて良かったね、斎藤さん。」


一方島田くんは、優しく私に声をかけてくれる。


「う、うん。…ごめんね?迷惑かけちゃって。
なにかお詫びしたいんだけど……。」


「お詫び?そんなのいいよ。斎藤さんと誰よりも話せたことが嬉しいからいいよ。」



「そ、そんな事と釣り合わないから、やっぱり何か一つ……。」



「んー。それじゃあさ、“島田くん”じゃなくて、“樹くん”って呼んでよ。」


「そ、そんなことでいいの?」



「うん。僕にとっては、そんな事じゃないから。それがいい。」



「わ、分かった。じゃあ……樹くん…って呼ぶね……?」



「おう!僕も香菜子ちゃんって呼ぶね!」




「おーい!島田と香菜子!写真撮ろ!」



茉莉ちゃんの元気な声が聞こえて、足に気をつけながらもみんなのもとへ向かう。

たくさん迷惑はかけてしまったけど、班のことも仲良くなれて、楽しい校外学習になって良かったなぁ。なんて思いながら、クラスメイトの持った茉莉ちゃんのスマホに笑顔ピースサインを向けた。