5時からはじまる甘い罠。





「パスミスっちゃった…。
痛かったよね?」



申し訳なさそうに尋ねる声すら、心地よく透き通る。


わたしは、緊張なのかなんなのか、よくわからない冷汗をかいてしまう。



「……あの?」



彼は返事をしないわたしを、不思議そうに見ている。


何か、答えなくちゃ……


そう思うのに、唇が震えてしまう。



「……もしかして、頭打ったから?

やべえ、ほんとごめん」



とんでもない勘違いをしている彼に、わたしは違う、と言いたかった。


大丈夫です、って、ほとんど喉まで出かけた時に、



「あー、更科(さらしな)。そいつ違う。
それで通常営業だから、気にすんなー」




「そーそー、わらしはこれで大丈夫!」




「……え?」