「パスミスっちゃった…。
痛かったよね?」
申し訳なさそうに尋ねる声すら、心地よく透き通る。
わたしは、緊張なのかなんなのか、よくわからない冷汗をかいてしまう。
「……あの?」
彼は返事をしないわたしを、不思議そうに見ている。
何か、答えなくちゃ……
そう思うのに、唇が震えてしまう。
「……もしかして、頭打ったから?
やべえ、ほんとごめん」
とんでもない勘違いをしている彼に、わたしは違う、と言いたかった。
大丈夫です、って、ほとんど喉まで出かけた時に、
「あー、更科(さらしな)。そいつ違う。
それで通常営業だから、気にすんなー」
「そーそー、わらしはこれで大丈夫!」
「……え?」

