「いたっ」



ぴん、とサイドポニーの毛先を引っ張られる感触に、頭皮が痛くて思わず悲鳴をあげると、



「何これ」



廉くんが言った。





バレーボールを無事に終え、試合は負けたけどどうにか足を引っ張らずに切り抜けたわたしは、残りの試合の応援をするためにコートの外にいた。


周りの子はみんな友達といたけど、わたしはもちろん一緒に観戦する友達もいないので、ひとり。


それでも、知っている人が試合に出てるのを見るのは面白くて、夢中で応援していたので、背後に廉くんが立っていたことに気づかなかった。