不意になんだか恥ずかしくなって、


わたしは「こっち、みないで」と呟く。



「あのね、俺は栞菜がそう言うから、見たくなるんだよ」



全く悪びれないでそんなことを言うからずるいのだ。



「いつもそうやってわたしで遊ぶの、……やめて」



思わず言い返すと、



「そんなことないよ」



そう言って廉くんは頬杖をついた。


その目は窓の外を見ている。



「俺さ、女の子って苦手なんだ……面倒。

……付き合ってても、大体はすぐ怒るし、泣くし、彼氏が自分の思い通りじゃないとダメってなるし。
俺って見た目ほど優しくないみたいでさ。

だから栞菜といると、時々自分が女の子といる、って忘れる」


「……え」


……廉くんはすごく優しいと思うし、たぶん私は人並み以上に面倒くさい人間だけど……。


というか、女の子だと忘れるって……さすがのわらしも、地味に傷つく。