バッティングセンターに廉くんとくるのは、三回目。
なのに、わたしははじめての時から一向に成長しない。
ボールの勢いが怖すぎるのだ。
「廉くん、わたしはもういいので、廉くんが……」
バットを廉くんに渡そうとすると、彼は真面目な顔をして首を振った。
「いや、だめでしょ。
これは栞菜の特訓なんだからさ。
ほら、もう一回」
でもこれってなんの特訓なんだろう…
泣きそうな顔になっても、廉くんはどこか楽しそうに微笑む。
……この人はわたしのダメダメな姿を見て楽しむためにここに連れてきているんじゃないか……とちらりと考えた。
「ん?どうしたの。
変わりたいんでしょ」
……ほんとに、いじわるだ。
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