5時からはじまる甘い罠。





「なに考えてんの?」



ずっと黙って考え事をしていると、廉くんが不思議そうにわたしを見ていることに気づいた。


なんでもない、と答えると、廉くんは、



「あんまりぼうっとしないほうがいいよ。

栞菜、どんくさいからすぐ転ぶし」



と憎まれ口を叩いた。






校舎から朝のチャイムがひびいて、2人の間を通り抜ける。