現実を受け入れればいい。


ああいうのは、選ばれた人だけしか手に入らないんだから。


わたしみたいなのが憧れるだけ、無駄だったんだから……







「ぶほうっ」



あまりに突然頭を襲った衝撃に、わたしは何が起こったのかすぐにはわからなかった。


ただ目の前の地面に転がるサッカーボールを見て、これが当たってころんだんだってぼんやりとわかった。



「もー、何やってんの男子~」



女子がわたしのそばに寄ってきて、ボールをひょいと拾うと、隣のコートで試合をしている男子の方に投げ入れた。



「おー、弾丸パス決まりすぎたわ」



「下手くそかよ!」



きゃはは、と笑う声が聞こえる。


そのやり取りでどうやら男子の蹴ったボールが女子のコートまで飛んできてしまったのはわかった。


…もちろん、わたしにかけられる声なんてない。


ボールが当たった頭部がぼんやりするけど、わたしはなんとか立ち上がった。