ほんとにとんでもない提案を受けてしまったと思う。 ・ 「栞菜ー」 廊下から声をかけられて、廊下側一番後ろの席のわたしが顔を上げると、そこには予想通りの笑顔があった。 (ていうか他にいない) 「おはよ」 人懐っこい目が細められている。 ずるい……内心ときめいた心を無理やり抑えて、わたしはどぎまぎしつつ、視線を合わせずぺこりと頭を下げた。 「栞菜…笑顔はどうした?」 早速ダメ出しをくらってしまう。 焦ってなんとか苦笑いを浮かべたけど、彼はなんだか不満げだった。 ・