5時からはじまる甘い罠。



目の前のとびきり魅力的な笑顔。


でもわたしには、もう考えが読めない。



「あの……わたし、やっぱり」



やめます、と言いたくて。


怪しい予感にすっかり怯えて逃げようとするわたしに、更科くんははっきりと宣言した。



「いや、もう逃がさない。

ドラえもんの恩をもう忘れたの?

意外と薄情だな」



「……えっ」



痛いところをつかれて黙ってしまう。


なんだか、もうすでに先生と生徒の構図が出来上がっている気がする。


もしくは主人と忠犬…


今更ながら、彼とわたしの間の圧倒的な人間レベルの差を感じる。



初めから敵うはずがなく。



これから翻弄される予感に身震いした。