5時からはじまる甘い罠。




……久し振りに、自分の気持ちを、人に伝えるという行為をした。


動悸がすごい。心拍数、血圧、全てが沸騰して、倒れてしまうような気がする。


……けどわたしは、それでもちゃんとここに立っていた。


彼は少しだけ驚いたようだけど、すぐに普通の表情に戻って、ゆるく唇を上げた。



「やっぱ喋れんじゃん。

『橘さん』」



わたしは目を丸くして、立ちすくんだ。


この人……。


もしかして今、わたしの名前を呼んだ?