「……」
しばらくお互いになにも言わなかった。
無言のままのわたしに、更科くんは不思議そうに尋ねた。
「ねえ。あんたさ、喋れないってほんと?」
え。
わたしは固まってしまう。
「あんたのクラスの女子に言われたんだよね。
わらしは喋れないって。
わらしってあんたのことなんでしょ?」
あまりの恥ずかしさになにも言えないでいると、更科くんはぶしつけなのか空気が読めないのか、続けて聞いてきた。
「ほんとなの?」
わたしは……。
「……っ」
わたしは、気づいたら唇を開いていた。
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「ち……。ちが、ちがいま、す」
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