5時からはじまる甘い罠。





「……」



しばらくお互いになにも言わなかった。


無言のままのわたしに、更科くんは不思議そうに尋ねた。




「ねえ。あんたさ、喋れないってほんと?」



え。


わたしは固まってしまう。



「あんたのクラスの女子に言われたんだよね。

わらしは喋れないって。

わらしってあんたのことなんでしょ?」



あまりの恥ずかしさになにも言えないでいると、更科くんはぶしつけなのか空気が読めないのか、続けて聞いてきた。



「ほんとなの?」



わたしは……。



「……っ」



わたしは、気づいたら唇を開いていた。







「ち……。ちが、ちがいま、す」