「あ、帰ってきた」
こそっとお友達がわたしたちに告げる。
「……あれ、栞菜と海人は?」
「ん? さっき2人でどこかいったよ」
廉くんの問いに、打ち合わせ通り答えてくれるお友達。
あとはしらねえぞ、としらを切っている。
「……ふぅん」
廉くんが少し低い声で、あたりを見回しはじめる。
そこで、わたしとお友達は目を合わせると、うなずく。
そして、みんなから少し離れた場所で、2人かなり近くまで顔をつき合わせて仲良く話し始める。
なれない演技をしながら、わたしは内心うなだれた。
うぅ……。
こんなことで、廉くんがやきもちなんてやくわけがない……。