「栞菜ちゃんに、普段の廉の様子を見せたい」
「遠くから、栞菜ちゃんが誰かと喋ってるだけで、あいつがどんだけ心乱されているか」
「あれはほんと傑作だよね」
なんだか信じられずに目をぱちぱちさせる。
確かに前、廉くんに、嫉妬している、と言われたことはあった。
だけど実際わたしの前での廉くんは、いつも余裕で、そんな風に感じたことは一度もなくて。
とても信じがたい。
「……試してみる？」
え、と固まる私に、
「廉の心乱れる姿、見てみたくない？」
いたずらっぽいお友達の笑顔に、わたしはごくり、と喉を鳴らした。
そんな騙すみたいなこといけない、と理性が言っているのに、その悪魔の誘惑がわたしを乱す………。
「あーあ、また海人の悪い癖だよ」
「あとで廉に殺されるね」
お友達が肩をすくめた。
