俺は、熱に浮かされたように、彼女の腕を取ると、胸の中に抱きしめた。
「……たべてもいい?」
「え?」
栞菜は戸惑ったように声を上げた。
暗闇の中で、彼女の目が魅惑的に輝いて見えた。
あんたのすべてが俺を誘っているんだ。
「……廉くん、あのっ」
彼女がなにか言いかけたけど、俺はその答えを唇で塞いだ。
「……っ」
長いキスから解放してやると、彼女は顔を真っ赤にして俺を見つめていた。
触れ合う体から、彼女の心臓の音がこちらまで伝わってきている。
手は燃えるように熱い。
「はは」
思わず笑った。
可愛い。
想像よりずっと。
「……可愛いな」
ついでに口にも出すと、彼女がわなわなと震えた。
「……そんなこと言わないで」
目をぎゅっとつむった栞菜に、俺はもう一度口付けた。