5時からはじまる甘い罠。




俺が目を閉じると、栞菜は胸の中で身じろぎして、俺の腕から離れる。


ガサゴソ、と、何かを探すような音。


作業する衣摺れの音。




……ん?


俺は目を閉じたまま、眉をひそめた。


彼女は一体、なにを始めたんだ……?






「……目、開けて、廉くん」



緊張した栞菜の声に、俺がゆっくり目を開くと、


暗い部屋の中で、ろうそくの柔らかな光が揺らめいていた。







机の上に、ろうそくが立てられたホールケーキ。


その真ん中に乗せられた、チョコレートでできたプレートには、



《HAPPY BIRTHDAY Ren》

の文字。