俺が目を閉じると、栞菜は胸の中で身じろぎして、俺の腕から離れる。
ガサゴソ、と、何かを探すような音。
作業する衣摺れの音。
……ん?
俺は目を閉じたまま、眉をひそめた。
彼女は一体、なにを始めたんだ……?
「……目、開けて、廉くん」
緊張した栞菜の声に、俺がゆっくり目を開くと、
暗い部屋の中で、ろうそくの柔らかな光が揺らめいていた。
机の上に、ろうそくが立てられたホールケーキ。
その真ん中に乗せられた、チョコレートでできたプレートには、
《HAPPY BIRTHDAY Ren》
の文字。
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