5時からはじまる甘い罠。




気がついたら、強引に、彼女を抱きすくめていた。



彼女はビクッとして、身をすくめた。



「……廉くん?」



耳元で聞こえる、不安げな声。



だめだ。怖がらせたいわけじゃない。


俺は自分に言い聞かせる。


……あくまで優しくしなければ。


この臆病な子に、嫌われないように、


だけど、どんなに泣かれても、


もう最後までは、絶対に止められそうにないんだけど………












「……廉くん、

目、閉じて」



栞菜が腕の中で優しくつぶやく。



俺は、思わずどきりとする。



暗闇の中で、彼女の表情は見えないけど、


甘い期待に、心臓が高鳴るのが自分でもわかる。



「……ん」



平静を自分がきちんと装えているのか、自分でもよくわからない。