気がついたら、強引に、彼女を抱きすくめていた。
彼女はビクッとして、身をすくめた。
「……廉くん?」
耳元で聞こえる、不安げな声。
だめだ。怖がらせたいわけじゃない。
俺は自分に言い聞かせる。
……あくまで優しくしなければ。
この臆病な子に、嫌われないように、
だけど、どんなに泣かれても、
もう最後までは、絶対に止められそうにないんだけど………
・
・
「……廉くん、
目、閉じて」
栞菜が腕の中で優しくつぶやく。
俺は、思わずどきりとする。
暗闇の中で、彼女の表情は見えないけど、
甘い期待に、心臓が高鳴るのが自分でもわかる。
「……ん」
平静を自分がきちんと装えているのか、自分でもよくわからない。

