5時からはじまる甘い罠。




「ほんと、ごめん。

腫れちゃったね」



クラスの女子に、更科、と呼ばれていた。


更科くんは、わたしのほほを見て申し訳なさそうに俯いた。


とたんに、こんなに綺麗な顔の人の前で、こんな惨めに顔を腫らせて立っている自分が、ひどくはずかしいものに思えた。




……多分この人は優しい人だ。


話したこともない違うクラスのわたしを、心配して待ってくれていたのは本当だろうし。


謝ってくれるのも誠意からだとかんじる。


いたわるような視線からは蔑みもからかいもなにも感じ取れない。




だけど……放っておいて欲しかった。


こういう人の前に立つには、…わたしは、つらすぎる。