5時からはじまる甘い罠。




栞菜、そういう天然は普段は可愛いけど、今は逆効果だよ。



「はっきりいって、もうぺこぺこだよね」



そういうと、栞菜は、なにやら真面目な顔をして考え込むと、何か決意したような目で俺を見た。



「……わかった」



俺は、ずる、と体の力が抜けそうになる。


わかった、ってなんだよ。


絶対になにもわかってないだろ。






「……じゃあ、廉くん、

お部屋の電気を消してもいい……?」






言葉を理解するのにこんなに時間がかかったのは初めてだ。


頭が真っ白というか。


かろうじて表情は変えなかったけど、内心は恥ずかしいくらいの大混乱が起きていた。



「……いいの?

俺、言っとくけど、絶対に遠慮しないよ?」



いろんな意味を込めて言うと、


栞菜は慌てて首を振った。



「そ、そんな。遠慮なんて……

廉くんはいつも、わたしに気を使いすぎだよ」



彼女の言葉に、俺はゴクリ、と喉を鳴らした。



俺は、無言で立ち上がると、すたすたと部屋の入り口まで歩き、電気を消した。