栞菜、そういう天然は普段は可愛いけど、今は逆効果だよ。
「はっきりいって、もうぺこぺこだよね」
そういうと、栞菜は、なにやら真面目な顔をして考え込むと、何か決意したような目で俺を見た。
「……わかった」
俺は、ずる、と体の力が抜けそうになる。
わかった、ってなんだよ。
絶対になにもわかってないだろ。
「……じゃあ、廉くん、
お部屋の電気を消してもいい……?」
言葉を理解するのにこんなに時間がかかったのは初めてだ。
頭が真っ白というか。
かろうじて表情は変えなかったけど、内心は恥ずかしいくらいの大混乱が起きていた。
「……いいの?
俺、言っとくけど、絶対に遠慮しないよ?」
いろんな意味を込めて言うと、
栞菜は慌てて首を振った。
「そ、そんな。遠慮なんて……
廉くんはいつも、わたしに気を使いすぎだよ」
彼女の言葉に、俺はゴクリ、と喉を鳴らした。
俺は、無言で立ち上がると、すたすたと部屋の入り口まで歩き、電気を消した。

