「勉強、教えて。 廉くん、頭いいし。 そう、一緒に数学がしたくて…」 「……ふーん」 意外な提案だった。 ……ほんとにわざわざ、そんなことのためにウチまで? まあ、別に、いいけど。 俺は、明らかに今思いついた様子の栞菜の提案に、乗っかってやることにする。 「じゃ、久々にスパルタ授業だね」 そう呟くと、栞菜はえ…と顔の色をなくした。 サラサラとシャーペンを動かしていた栞菜の手が、数式を書き終えて止まる。 「……こう?」 「違うね」 俺はにこりとした。 栞菜は、う……と首をすくめる。