「……だめですか?」



「……。だめじゃないよ」



だめなわけないでしょ。


栞菜にそんなに可愛くおねだりされたら、俺はどんなことだって聞いてしまう自信があるのに。



「わかった、明日ね」



「……っ、うん!」



途端に顔を明るくして、微笑む栞菜を見ているだけで、俺の荒れた心は凪いで、満たされるなんて不思議だ。


……まぁ、ふたりきりで自分を抑えられる自信は正直、あまりないんだけど。


……やるしかないよね。


愛しい彼女の、ダイヤモンドより固い信頼を守るためなら。


純粋な子を本気で好きになると、男はいつも、修行だと知る。