「…え?」



怯えたように俺を見上げる彼女の目が潤んでいる。


俺の心はゾクゾクと震えた。



ああ、もしも今、彼女が俺の心を読めたなら、栞菜はすぐに怖くなって、俺の元を去っていくに違いない。


俺がいつだって、栞菜のことばかり、考えていると知ったら。



「……っ、あの、廉くん?

やっぱり、わたしなんかが廉くんのプライベートに踏み込んだりして、…迷惑だった?

それならごめんなさい。

だけど、わたし、どうしても明日、廉くんの家に行きたいんです……」



「……」



そんな間の抜けた返事で、


俺の再三の攻撃にもかかわらず、彼女は何もわかっていないことがわかった。



脱力。


いや……そういうところが、可愛いんだけど。