なんだかがっくりとして、わたしは教室に戻る。 なにもかもがうまくいかない。 ……大丈夫、こんな日もある。 わたしは自分に言い聞かせた。 どんなに辛くても平気。 黙って耐えていれば、また、きっと普通に戻れる。 きっと明日からも、なにも変わらない、地味で、平和で、静かな毎日が続いて…… 顔を上げると、誰もいなかったはずの教室に、影が一つ生まれていた。 窓際に持たれるように立ち、グラウンドをながめているすらりとした人。 後ろ姿だけでまるで、映画のような。