5時からはじまる甘い罠。




「……俺、迷惑だった?」



「……」



何も言えずに俯いていると、廉くんはしばらく黙って何か考えてから、顔を上げた。



「俺たち、離れようか」



わたしは、ついにこの日が来た、とおもった。



「俺、あんたを助けたいと思ってた。

でも……、今あんたを傷つけてるのは、俺だよね」



自嘲気味に笑う廉くんの言葉は、理解はできても、頭の中をすり抜けてこぼれる。


ちがう、って言いたかったけど。


言えなかった。


だって、廉くんを傷つけているのは、わたし。


きっとこれからも。


わたしの心が、思い通りにならないせいで。


いつかバレて、廉くんに嫌われる前に、


これ以上迷惑をかける前に、



もう、離れなくてはいけないとおもった。