5時からはじまる甘い罠。















しばらくして、廉くんはトイレから出てきた。


苦しそうな、表情。



「ちょっとモテ王子。

過去くらい清算しとけよな、わらしに迷惑かけんなよ」



廉くんに向かっても相変わらず、ずけずけとのたまう里奈ちゃん。


廉くんは、素直にうなずいた。



「こんなことになってるなんて、知らなかった。

おかげで助かった」



「ほんとだよ。

貸し100ね、王子」



里奈ちゃんはさっぱりと笑った。



「栞菜、ほんとに……ごめん」



廉くんの顔が見られない。


わたしがこんな顔をさせてるかと思うと、身が切られるほどつらかった。



「わたしが悪いんです。

ごめんなさい」



廉くんは何かを考え込んでいるようだった。



「……栞菜。

家の用事なんて、嘘だよね」



「……」



ごめんなさい。


かすれた声は、聞こえたかわからない。