5時からはじまる甘い罠。




保健室を出て、教室まで鞄を取りに行く。


5時を過ぎた教室には、もう誰もいない。


わたしは少しホッとして、自分の席に着いた。


机の中の荷物を鞄に詰めながら、ため息をつく。


結局、わたしは自分が可愛いのだ。


おくびょうなふりして、ほんとは勇気がなくて、傷つきたくなくて、まわりをシャットアウトしているだけで……。


自分の弱さが嫌になる。


胸が苦しくて、手のひらで心臓のあたりを握った時に、違和感に気づいた。



「……えっ!」