「……あ、ありがとう、廉くん」 「……」 廉くんと、ふたり。 その場に取り残されたわたし。 「れ、れんくん」 男子はいなくなったのに、廉くんはなにも言わない。 「あの……」 「……」 「ごめんなさい、迷惑だった……よね」 「……」 廉くんは無表情で、なにを考えているのかわからない。 だけど目の奥はいつもよりずっと冷え冷えとしている。 「栞菜は」 わたしは顔を上げる。 廉くんは、まっすぐにわたしを見ていた。 「栞菜は俺のこと誤解してるよ」