5時からはじまる甘い罠。




「……」



なにもこたえられない。


唇が乾く。


……廉くんをこんなに怖いと思うなんて。


ぽた、と涙が床におちた。


廉くんは、それをぼんやりと見て、目を伏せると、


もう一度、男子たちに向き直った。



「………早く行けよ。

……それからこいつの名前、わらしじゃねえから」



その半端じゃない怒りように固まったのは、男子たちだけじゃなくて、わたしも同じだった。


……こわい。



「いこーぜ」



「うん…」



そう思ったのは男子たちも同じだったようで、あわてて去っていく。



「わらしちゃんのうそつき」



…え…


わたしの耳元でこっそりささいたのは、話しかけてきた男子のうち、はじめに廉くんとの関係を聞いてきた1人。


廉くんとわたしを見比べて、彼はにやりとした。