「……」
なにもこたえられない。
唇が乾く。
……廉くんをこんなに怖いと思うなんて。
ぽた、と涙が床におちた。
廉くんは、それをぼんやりと見て、目を伏せると、
もう一度、男子たちに向き直った。
「………早く行けよ。
……それからこいつの名前、わらしじゃねえから」
その半端じゃない怒りように固まったのは、男子たちだけじゃなくて、わたしも同じだった。
……こわい。
「いこーぜ」
「うん…」
そう思ったのは男子たちも同じだったようで、あわてて去っていく。
「わらしちゃんのうそつき」
…え…
わたしの耳元でこっそりささいたのは、話しかけてきた男子のうち、はじめに廉くんとの関係を聞いてきた1人。
廉くんとわたしを見比べて、彼はにやりとした。
・

