5時からはじまる甘い罠。




「おー、本当に変わったな」


「噂通りじゃん」


「化けたね、わらしちゃん」


「もともと素材はいいんだよな」



あっという間に男子に四方を取り囲まれて、わたしはおもわずひっ、と声を上げた。



…失敗した。


無視すればよかったのに…



「おお、ビクビクしてる」


「怖がってんじゃん、おまえのせいだろ」


「おまえだよ」



楽しそうに笑う声。


……こういう人種が、わたしは一番苦手なのだ。


でも逃げたくても逃げ場がない。


完全に追い詰められたネズミになっているわたしに、1人が尋ねた。



「ねえ、わらしちゃん、更科と付き合ってるってマジ?」



わたしは驚いて目を丸くした。


どうしよう、ほんとに、噂が想像以上にひろまっている…。