5時からはじまる甘い罠。








廉くんに会えない毎日が、つづく。


なんだか、世界が色を失ったように見えて、


わたしは、どんなに彼の存在が大きくなっていたのかを、知った。








「あ、わらしだ」



ある日の昼休み、購買の近くをぼうっと歩いていると、通りすがりの数人の男子がそう呟いた。


数週間前までむしろ空気だったにもかかわらず、最近いろんな意味で目立ったので、たまにこういうことがある。


もちろんわたしはよく知らない人も男子も苦手なので、足早に立ち去ろうとすると、



「あ、待ってよ、わらしちゃん」



すれ違ったうちの1人に呼び止められてしまい、わたしは驚いて立ち止まる。