人気のない図書室のまえでわたしは、本題を切り出す。
「……あの、今週、特訓をお休みしたいんです」
すみません、と頭を下げると、
廉くんは片眉をあげた。
「いや、それは全然いいけど。
……なんかあったの?」
心配そうな廉くんに、わたしは慌てて首を振った。
「……いえ、あの!
その、しばらく、ずっと、家の用事で……」
ごめんなさい、と言うと、
廉くんはそう……、とうなずいた。
「そんなに謝らないでよ、大丈夫だから。
たまには休んで、羽伸ばそうか。お互い」
わたしの頭をぽん、と撫でた。
……廉くんは、頭がいい。
言葉も、行動も、すべてがわたしに対する気遣いだ、とわかる。
わたしは、そんな廉くんに嘘をついてしまった罪悪感から、苦しくてたまらなくなった。
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廉くんと、しばらく距離を置きたい。
そう思ったのは、色々と考えた結果だった。
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