固まるわたしに、廉くんはじっ、とわたしを見つめると、 「………なんて、嘘。 ごめん、俺なに言ってんだろ」 と表情を変えた。 そこにあるのは、いつもどおりの笑顔。 わたしは曖昧に頷くけど、その違和感は拭えないまま、残る。 廉くんの心は相変わらずわからない。 でもわたしなんかが知ったところで、どうせ何もできない。 廉くんの心に近づきたいと思うことすら、たぶんわたしには贅沢すぎる望みだ。 わたしはその後の授業中も、ひとりでずっと考えこんでいた。