「……栞菜」 廊下で人と立ち話をしていた最中、 声をかけてきた人。 わたしは驚いて振り向く。 ……やっぱり、廉くんで。 彼を見るだけで、胸が痛くなるなんて。 こんなことになるなんて、想像もしなかった。 「じゃ、よろしく」 「……あ、はい」 喋っていた男子は廉くんの姿を見て、その場を立ち去る。 わたしは彼にぺこりと頭を下げた。 廉くんは彼の後ろ姿をじっと見た。 「……今の誰?」