その財布は、夏羽がフィリピンで迎えた初めての誕生日の時にミゲルがくれたものだった。黄色の可愛らしい財布で、夏羽は大切に使っていた。
「夏羽?」
隣に立つミゲルが声をかける。夏羽は無理やり笑顔を作り、「トイレに行ってくる!」と声をかけてミゲルから離れた。
この人混みの中で、夏羽の財布が見つかるわけがない。夏羽の財布は誰かにスられたのだ。犯人はこの人混みの中で喜びに浸っているだろう。
それでも、夏羽は財布を探してカフェテリアから離れていく。ミゲルのくれた大切な財布だ。無くしたと言えば、ミゲルは悲しむかもしれない。そう思うと、夏羽の気持ちは焦るばかりだった。
小学生の頃、夏羽は母親が買ってくれたピン留めを学校で無くしてしまったことがあった。それを母親に言った時、夏羽は母親に頰を叩かれた。
「いくらしたと思ってるんだ!!このクズ!!出て行け!!」
ミゲルがそんなことを言わないのはわかっている。それでも、夏羽は探し続けた。
「夏羽?」
隣に立つミゲルが声をかける。夏羽は無理やり笑顔を作り、「トイレに行ってくる!」と声をかけてミゲルから離れた。
この人混みの中で、夏羽の財布が見つかるわけがない。夏羽の財布は誰かにスられたのだ。犯人はこの人混みの中で喜びに浸っているだろう。
それでも、夏羽は財布を探してカフェテリアから離れていく。ミゲルのくれた大切な財布だ。無くしたと言えば、ミゲルは悲しむかもしれない。そう思うと、夏羽の気持ちは焦るばかりだった。
小学生の頃、夏羽は母親が買ってくれたピン留めを学校で無くしてしまったことがあった。それを母親に言った時、夏羽は母親に頰を叩かれた。
「いくらしたと思ってるんだ!!このクズ!!出て行け!!」
ミゲルがそんなことを言わないのはわかっている。それでも、夏羽は探し続けた。


