夏羽は、普通の両親のもとで育ったわけではない。だから結婚することなどないとずっと思っていた。しかし、目の前にいるミゲルは本気で家族になろうとしてくれている。

「……Salamat sa paghahanap sa akin(私を見つけてくれてありがとう)」

そう言い、夏羽はミゲルにそっと抱きつく。

砂浜に、二人のシルエットが重なった。