温かいこの場所で、君と

熱帯魚の水槽が置かれたコーナー、深海魚が泳いでいるコーナー、クラゲの入った水槽が置かれているコーナー……。

午前中にミゲルと行った場所を、夏羽は探し続ける。焦りと不安で夏羽は半分パニックを起こしていた。

どうしよう……。ミゲルからもらったもの……。大切なもの……。

焦る夏羽を気にすることなく、人々は笑顔で水族館を楽しんでいる。

「お前なんて、誰からも愛されないんだ!私たちがそばにいてやるだけ感謝しろ!」

ずっと考えないようにしていた母親の声が、夏羽の耳に届く。ドクンと心臓が鳴り、夏羽の足がピタリと止まった。

「なんだこの成績は!!何もできない役立たずめ!!」

「お前なんか産むんじゃなかった!!」

「死ね!!消えろ!!お前は生きる価値なんてない!!」

「お前のためにいくら使わないといけないと思ってるんだ!!」

一度思い出すと、もう止まることはない。夏羽の体が震え、立っていられなくなる。