亀集院さんは、少し間をおいてから不思議そうに聞いてきた。
「…なら何で、婚約しなかったの?」
「あたしなんかには勿体なくて。釣り合い取れないですから」
笑って答える。
もしも、あたしがまだお嬢様のままだったなら…結婚を承諾したのかな?…なんて。
カクテルに視線を戻して苦笑い。
もしもの話を考えるなんて、馬鹿げてる。
「そんなの、御曹司がいいって言ったら、気にしなくていいんじゃないの?」
あたしは小さくかぶりを振った。
「ーーいいえ。
啓志郎くんは、啓志郎くんに相応しい相手と共に生きていくべきなんです」
ゆくゆく後悔しない為にも。
「…ふーん、そっか。
あ、ゴメンね、電話が入った」
亀集院さんが内ポケットからスマホを取り、片手上げてゴメンと言った。
仕事かな?「はい、どうぞ」
亀集院さんが席を外している間、暇をもて余して、カクテルをチビチビ飲む。
つんと、強いアルコールが舌をピリピリさせる。
さっきまでは、美味しかったのに、別の飲み物のよう。
もう啓志郎くんとは会わないって言おう。
そうしたら、マイラ姫が仕事くれて、順風満帆だ。
それが一番いい。
グイッとカクテルを飲み干した。
バーテンダーが、「次、いかがいたしましょう」空になったグラスを見て聞いてきた。
「…なら何で、婚約しなかったの?」
「あたしなんかには勿体なくて。釣り合い取れないですから」
笑って答える。
もしも、あたしがまだお嬢様のままだったなら…結婚を承諾したのかな?…なんて。
カクテルに視線を戻して苦笑い。
もしもの話を考えるなんて、馬鹿げてる。
「そんなの、御曹司がいいって言ったら、気にしなくていいんじゃないの?」
あたしは小さくかぶりを振った。
「ーーいいえ。
啓志郎くんは、啓志郎くんに相応しい相手と共に生きていくべきなんです」
ゆくゆく後悔しない為にも。
「…ふーん、そっか。
あ、ゴメンね、電話が入った」
亀集院さんが内ポケットからスマホを取り、片手上げてゴメンと言った。
仕事かな?「はい、どうぞ」
亀集院さんが席を外している間、暇をもて余して、カクテルをチビチビ飲む。
つんと、強いアルコールが舌をピリピリさせる。
さっきまでは、美味しかったのに、別の飲み物のよう。
もう啓志郎くんとは会わないって言おう。
そうしたら、マイラ姫が仕事くれて、順風満帆だ。
それが一番いい。
グイッとカクテルを飲み干した。
バーテンダーが、「次、いかがいたしましょう」空になったグラスを見て聞いてきた。

