平静を装いつつも、酔ってるせいかな?それとも場の雰囲気のせいかな?男の人とこういう雰囲気、久し振りすぎて、頭が追いつかない。
「そんなことないよ」
「…嘘ばっかり」
手を離さないあたしもどうかしてる。
こんなにハイスペックで30代で独身って、絶対女たくさんいるから!
遊ばれてるだけだから!
亀集院さんは、あたしの手を握ったまま、反対の手で丸い氷が入ったウイスキーグラスを傾ける。
「でも、嬉しいな。モテそうって思ってくれるなんて、俺のこと良い男だって認めてくれてるってことでしょ」
「それは…」
スマホに着信が入って、反射的に手を離す。
啓志郎くんだ。
“もう会わないこと”
昼間、マイラ姫のマネージャーに言われたことが頭をよぎって躊躇した。
着信の画面を見ながら、出ることができない。
亀集院さんが「どうぞ」と促してくれたから、席を離れて電話に出た。
「優留ちゃんから聞いたんだけど、お祖父さん大丈夫だった?」
用は何?と聞くよりも先に聞いておきたいことだ。
『…聞いたのか、それならば問題ない。
大丈夫だ。心配かけて済まなかったな』
耳元にクリアに通る啓志郎くんの声。
大人の亀集院さんとは、やっぱ違うな。
低くなったけど、やっぱりまだ若い。
「そっか、良かった。…ごめんね、あたしが無理言って来てもらったから…」
「そんなことないよ」
「…嘘ばっかり」
手を離さないあたしもどうかしてる。
こんなにハイスペックで30代で独身って、絶対女たくさんいるから!
遊ばれてるだけだから!
亀集院さんは、あたしの手を握ったまま、反対の手で丸い氷が入ったウイスキーグラスを傾ける。
「でも、嬉しいな。モテそうって思ってくれるなんて、俺のこと良い男だって認めてくれてるってことでしょ」
「それは…」
スマホに着信が入って、反射的に手を離す。
啓志郎くんだ。
“もう会わないこと”
昼間、マイラ姫のマネージャーに言われたことが頭をよぎって躊躇した。
着信の画面を見ながら、出ることができない。
亀集院さんが「どうぞ」と促してくれたから、席を離れて電話に出た。
「優留ちゃんから聞いたんだけど、お祖父さん大丈夫だった?」
用は何?と聞くよりも先に聞いておきたいことだ。
『…聞いたのか、それならば問題ない。
大丈夫だ。心配かけて済まなかったな』
耳元にクリアに通る啓志郎くんの声。
大人の亀集院さんとは、やっぱ違うな。
低くなったけど、やっぱりまだ若い。
「そっか、良かった。…ごめんね、あたしが無理言って来てもらったから…」

