我妻教育3

「それは思ってないですけど…」

「でしたら、こちらにサインをどうぞ」

契約書と万年筆を差し出してきた。
早い、もう用意してあるんだ。

キンポウゲには力がある。

どうする?
どうしたらいいの?

啓志郎くんともう会わないだけでいい。
それだけであたしは、夢を手に入れることが出来る…?
ほんとうに?

逆にキンポウゲを敵に回したら、料理の世界ではもう生きていけない。

あたしは一生、キンポウゲに……

「すぐにお答えが出ないようでしたら、よくお考え下さい。
決心がつきましたら、こちらまでご連絡下さい。
すぐに契約致しましょう」

マネージャーは、ニッコリと営業スマイルで名刺を差し出した。