編集部があるビルの玄関を出たところで声をかけられた。
今それどころじゃないんだけど、顔を上げて、凍りつく。
姫の番犬だ。
堅苦しい黒スーツに、オールバックに固められた黒髪に、メガネの下の鋭い目付き。
マイラ姫のマネージャー(金峰下グループ会長の秘書の一人でもある)。
番犬…いや、マネージャーは近くの車(運転手付き)を指す。
「お話がございます。お乗りください」
話?何?
怪訝に思いながらも、後部座席に乗りこむと、隣にマネージャーが座った。
「この後はどちらへ?お送り致します」
「用がありますので、駅でお願いします」
「かしこまりました」
マネージャーは、運転手に行先を指示する。
「えっと…、あの、マイラさんのお怪我は大丈夫ですか?
本当に申し訳ありませんでした」
「ええ、大丈夫です。貴女が気にすることはございませんと、そちらの社長様とはお話が済んでいるはずですが」
表情を崩さない。
ツンケンしたマネージャーだなぁ…。
「あの、あたしに何か…?」
「垣津端さまは、この雑誌でお料理の連載を持たれているんですってね。
素晴らしいですね」
わざわざ用意したのか、タウン誌の最新号を手に持ち、パラパラとページをめくる。
褒めているわけではなさそう。
表情だけじゃなく、口調も冷淡としている。
今それどころじゃないんだけど、顔を上げて、凍りつく。
姫の番犬だ。
堅苦しい黒スーツに、オールバックに固められた黒髪に、メガネの下の鋭い目付き。
マイラ姫のマネージャー(金峰下グループ会長の秘書の一人でもある)。
番犬…いや、マネージャーは近くの車(運転手付き)を指す。
「お話がございます。お乗りください」
話?何?
怪訝に思いながらも、後部座席に乗りこむと、隣にマネージャーが座った。
「この後はどちらへ?お送り致します」
「用がありますので、駅でお願いします」
「かしこまりました」
マネージャーは、運転手に行先を指示する。
「えっと…、あの、マイラさんのお怪我は大丈夫ですか?
本当に申し訳ありませんでした」
「ええ、大丈夫です。貴女が気にすることはございませんと、そちらの社長様とはお話が済んでいるはずですが」
表情を崩さない。
ツンケンしたマネージャーだなぁ…。
「あの、あたしに何か…?」
「垣津端さまは、この雑誌でお料理の連載を持たれているんですってね。
素晴らしいですね」
わざわざ用意したのか、タウン誌の最新号を手に持ち、パラパラとページをめくる。
褒めているわけではなさそう。
表情だけじゃなく、口調も冷淡としている。

